【2022戦時下ロシア旅行記】2-3日目 ムルマンスクからサンクトペテルブルグまで27時間の列車旅【アルクティカ号搭乗記】

2025-01-15

2022年2月17日から26日までにかけてロシアを旅行してきました。

コロナ禍+旅行中に開戦という踏んだり蹴ったりの旅行となってしまいましたが、そんな2022年の少し懐かしい雰囲気を感じて頂ければ幸いです。

本記事は2月18日から19日にかけてムルマンスクからサンクトペテルブルグまで夜行列車で移動した2日目から3日目にかけて旅行記となります。

2日目のムルマンスク観光記はこちら。

2月18日 19時半 アルクティカ号に乗る

ライトアップが美しいムルマンスク駅から1200km、27時間の列車旅のスタートだ。

価格は2421ルーブル(約3630円)

基本的にはロシアの駅には改札はなく、チケットは列車の扉の前に立っている車掌に見せるのだが外国人は基本的にパスポートだけで乗ることができる。

ちなみに客車だけで15両ほどある上に、基本的にチケットに記載されている車両からしか乗れないので時間ギリギリに駅に着くとホーム上をダッシュする羽目になるので余裕を持って駅に行こう。

社内に掲載されていた時刻表。駅によっては30分ほどの停車時間があることが分かる。

今回乗ったのは右側のNo0015Aの上り列車となる。

車内

今回は一番安い3等車に乗った。

今回乗った車両は結構綺麗だったが、座席がトイレに近かったからか少し臭う。(ちなみにトイレ自体は大はしたくない程度の汚さ)

3等車は開放式の寝台で通路を挟んで一区画?に6つのベッドを備える。

横向きのベッドが上下段で4つ、進行方向に沿ったベッドが上下段で2つとなる。

進行方向に対し横向きのベッドだと通路に足を出せるので人気らしく埋まっていたので、今回私は進行方向に沿ったベッドの下段を予約した。

ベッドメイクするとこんな感じになり、大柄な筆者でもギリギリ収まるサイズ感だ。

車内はしっかり暖房が効いており、半袖で過ごすぐらいでちょうどよい。

ムルマンスクからサンクトペテルブルクに向かう車窓

途中駅(оленегорск)での停車などを挟みながら、列車は南へ向かう。

YandexMapには速度計がついているのだが、平均90km前後で走っていたように思う。

大量の貨物列車が止まっている駅(апатиты)に途中停車した。

数えてみると30両以上ある日本では見ない長さの貨物列車が横を通ったりと、ロシアにおける鉄道輸送の重要性を感じる。

寝る前に車内を散策していると、湯沸かし器(サモワール)を発見した。(車両ごとにモデル?が結構違う)

もちろん食堂車などもあるのだが、地元民はコスパ的にカップ麺や果物などを持ち込み食べているのでかなり便利だろう。

戦前メニューなのでコーラやスニッカーズなどの西側製品が堂々と販売されていた。

ちなみに持ち込み忘れても車内でもカップ麺やティーバッグが販売されており、自分で湯沸かし器を使って調理が可能だ。

翌日車掌に紅茶を頼んだところガラス製のカップも貸してくれた。(カップ自体も買える)

この日は疲れていたので23時頃就寝。

2月19日 9時起床

朝方に何度か目を覚ましつつ9時頃起床。

9時でもまだ周囲は暗い。

改めて一面の銀世界だ。

列車の揺れが心地よく意外と爆睡できたのか、疲れはすっかり取れていた。

9時40分 セゲジャ(Сегежа)駅で途中停車

セゲジャという駅で長時間停車するようなので降りてみた。

他の乗客もタバコを吸ったりストレッチをする為に降りているようだった。

この時間を使って車両下の雪を下ろしたり、連結したりなど何らかの作業を行っていた。

無骨なデザインの機関車がかっこいい。

先頭車を撮りに行ったところ、発車時間が近づき自身の乗っている号車に間に合わなそうだったので適当な車両から乗ろうとした。

すると、車掌のおばさんからパスポートを見せるように言われたが持っていない(座席にある)旨を伝えたところ、今回は特別に乗せてあげるけど的なことを言われてしまった。(パスポートは常に携帯しよう!)

明るくなってから見ると、車内は結構雑多な感じである。

10時 食堂車で朝食

お腹が空いたので10両ほど先にある食堂車に行ってみる。

微妙な時間だからか私以外に客は居なかった。

食堂車でもウォッカやウィスキーなどのハードリカーメニューがしっかりあるのは流石ロシアだ。

朝食セット的なのがあったので注文してみる。

目玉焼き3つと白パンか黒パン、それにコーヒーで280ルーブル(約420円)

ロシアの物価を考えると高いが、食堂車という体験自体が日本では中々出来ないので新鮮だ。

しっかしコーヒーがとにかくまずい。なぜか豆が若干残っており出来の悪いベトナムコーヒーのようになっていた。

ネスレのインスタントコーヒーでもこうはならんやろ、という感じの味だった。

全部で20両ほど客車がある気がする。とにかく長い。

通過する駅周辺でしか携帯の電波を拾えないので、車内では本を読んだりウトウトしたりしながら過ごす。

ちょうど大学の課題図書かつタイムリーということで下記の本を読んでいた。

「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略

ものすごく質素な駅舎(Кяппесельга駅)

ここで降りる人は一体何をして生計を立てているんだろうか…

14時30分 ペトロザボーツク駅到着

ペトロザボーツク駅に到着。停車時間が30分程あるので駅前を散策してみる。

ペトロザボーツクは世界遺産キジ島(木造教会)への窓口ということもあり、駅周辺は結構混雑していた。

駅前のミニマートでカップ麺(ドシラク)と石鹼を購入し、寒いのでそそくさと車内に戻る。

石鹸に関しては1泊目のモスクワにてドミトリーに石鹸が無い事が判明したので、今日以降の宿泊に備え購入した。

ドシラクの味だが、これといった特徴は無い安い具無しカップ麺という感じであり、日本で食べられる味で言えばブタメンが一番近いと思った。

モソモソと麺を啜っていると、いつの間にか列車はペトロザボーツク駅を離れていた。

17時 Свирь(スヴィリ)駅で長時間停車

手前に写っているおじさんは半ズボンだった

おそらく機関車の交換などで30分ほど停車するので外に出てみる。

相変わらずタバコ休憩兼買い物(物売りがホームに来る)で下車している人は多い。

この時点で旅程の3/4程を消化しており、残り乗車時間は5時間程度だ。

20時 食堂車へ

スヴィリ駅を出て横になっていると気づいたら眠ってしまっていたようで、起きたら車窓はすっかり暗くなっていた。

今朝食堂車を使った際、アルコールメニューがあったのを思い出したので食堂車で一杯やることにする。

まずジグリというビールとサラダを注文する。

サラダは普通にうまいという感じだったが、このジグリというビールは芳醇でめちゃくちゃ美味しく感じた。

二杯目はバルティカNo.3というビールとセリョートカと呼ばれる塩漬けニシンの酢漬けを注文。

バルティカに関しては侵攻前であれば日本でもヤマヤなどの酒屋で見ることがあったが、今ではさすがに輸入されていないだろう。

セリョートカ・バト・シューバ(毛皮を着たニシン)という料理は聞いたことある方も多いのではなかろうか。

セリョートカ・バト・シューバはニシンに玉ねぎやビーツ、ゆで卵などを載せたものなので、さしずめこちらは裸のニシンといった所だろうか。

これがシンプルだが抜群に旨く、脂がのっており塩気も十分で非常に酒のつまみとして優秀過ぎる存在だ。

ロシア料理屋などに行けば必ず置いてあるので、見つけた際はぜひ一度試してみてほしい。

手前味噌だが自分で作ってみたりしてるので、ぜひ見て行ってください(宣伝)

最後にキエフ風カツレツを食べて食事は終了。

車内で揚げているのか衣がサクサクしていて美味しかった。

計1600ルーブル(約2400円)とロシアにしては若干高いが、車内で本格的な食事を楽しめる機会は滅多に無いと思うのでよしとしよう。

22時 サンクトペテルブルク到着

遂に27時間の長旅は終わりを迎えた。

くぅ~疲れましたw これにて完結です!

過酷かと思いきや食堂車で飯を食べたりゴロゴロしたりと結構飽きることなく列車旅を楽しむことができた。(これがシベリア鉄道のように1週間とかだと変わってくるんだろうが)

列車は若干郊外にあるЛадожский(ラドジュスキー)駅に到着したので、本日泊まるホステルには地下鉄で向かう。

ヤンキー座りはロシア人の基本

長いエスカレーターを降り地下鉄ホームへ向かう。

所々にこういったレリーフが飾られている。

マヤコフスカヤ駅

ホステル最寄りのマヤコフスカヤ駅へ到着。

23時 ホステル到着

本日泊まるBARCH -capsule hotel-に到着。

キッチンからの景色、向かいのビルが駅だ

モスコーフスキー駅というモスクワからの電車が行き来するターミナル駅の目の前という非常に便利な立地だ。

ここではカプセルに一泊、個室に一泊する。

カプセルの値段は645ルーブル(約970円)と安いが、トイレやシャワーといった共用設備は非常に清潔だった。

上段のカプセルだったが、カプセルに高さが結構あり夜中トイレに行く際や寝起きなど梯子から落ちそうになった。

ペトロザボーツク駅で買った石鹸で体を洗い、歯磨きなどをしてこの日は即就寝してしまった。

次回は、サンクトペテルブルク観光の様子をお届けできればと思う。

ロシア,搭乗記

Posted by suppnd